迷走するスパコン

クラスタのベースはatomで

行政刷新会議事業仕分けの3日目に、理化学研究所の次世代スーパーコンピューティング技術の推進がまな板の上にのった。結果は、来年度の予算計上の見送りに限りなく近い縮減となった。これで世界最速なスパコンを日本が持つ可能性はほとんどなくなったのかな、いや少なくとも日本政府が持つ可能性はなくなった。本当にそういうスパコンを利用する市場があるならば、きっと民間がするんだろうと思う。そうでなければ、スパコンという箱物を作って、一部の人が使用して、ドッグイヤーの業界なのですぐに時代遅れになり無用の長物になるのかと。
そもそもスパコンを最初に知ったのは、就職活動をしていたときで、センチュリリサーチセンターというところがCray製スパコンを持っていて、これがあれば実験でできないシミュレーションで行えるというもの。会社案内でも、円筒形の一部を切り取って、その円筒の周りにベンチみたいなものがあって、メインフレームとはまったく違う形状に驚かされた。
その後、富士通スパコンを利用できる機会があって、当時利用していた科学技術計算プログラムをベクトル化して、少しでも速く計算できるようにして、とにかくパラメータを少しずつ計算して、ひたすら計算の日々。ちょうどチェルノブイリ事故が起こった頃だったので、すでにはるか昔のこと。その後、スパコンの需要は急速にしぼみ、アメリカでさえメーカは淘汰されて、気がつけば日本のメーカだけがスパコンにこだわっていたような気がする。
地球シミュレータなどの視覚的なものを見せられると、スパコン触りたいとなるけど、時代は、クラスタリングからグリッドと移り変わり、いまはクラウドと基本的には、複数のコンピュータを集約して使用するのが主流。いかに複数のコンピュータを繋げるオーバーヘッドを減らすかが、ブレイクスルーかと。
そうなると、供給の思惑と需要の要求がまったく異なり、いつしかパフォーマンスがあれば何でもできるからと可能性の話になり、いつしか効果的に使用されない箱物という流れになるのは、どこかまったく同じパターンを見ているような気がする。
ここは、グリーンコンピュータでどれくらいエネルギーを抑えて、なおかつ繋げるコンピュータのオーバーヘッドを減らすというリデュースというのが、次世代のスパコンのキーとなる技術なのかと思う。そう思うからこそ、Intelatomには特別の思いがある。