MSEでちょっとしたお召し列車気分

ホームに入ってくるMSE

鉄道ファンが選ぶ今年の「ブルーリボン賞」に小田急電鉄の特急「ロマンスカーMSE」が選ばれたというのは、鉄ちゃんなら記憶に新しいだろう。この夏の終わりに、このMSEの運転席のすぐ後ろの席に座る機会に恵まれた。ロマンスカーといえば、運転席が屋根の上にあって、乗客室の前方はパノラマが広がるというのがイメージであるが、東京メトロ千代田線・有楽町線に乗り入れるため、そんな屋根の上に運転席なんて設けられない。というわけで生まれたのが、運転席が通常の電車と同じのMSE。
しかし、MSEは運転席と乗客の席のしきりが、全面ガラスになっていて、運転席以外に遮るものはない。というか、運転席に並ぶメータやスイッチ類まですぐそこに見えて、運転する様が手に取るように分かる。
小田急線の軌道を走っているうちは、この運転する様子と景色を楽しんでいたが、本当のお楽しみは、東京メトロの軌道に入ってから、時速40kmと抑えて走りながらも、いくつかの駅をパスしていく。その駅で地下鉄を待つ乗客は、なんでこんな電車が走っているんだという眼差しで、このMSEを見送っている。これが先頭車両だと、痛いぐらいよく分かる。あぁお召し列車に乗るというのはこういう気分なんだろうなぁと思ったりもするが、そういう列車に乗り慣れている方はそんなことは思わないと、自分の小市民ぶりにがっかり。