迷走するスパコンその2

秋葉原ラジオセンター

学者バカとはよく言ったもので、ノーベル賞受賞者が壇上に並んでスパコンの開発を凍結したことに抗議。野依さんに至っては、よりにもよって自民党部会で批判と、それって御用学者とのレッテルを貼られないか心配になる。さらに、菅副総理兼科学技術政策担当大臣が、スパコンは重要だと復活させるよう事業仕分けの後ろから石を投げるようなことを言うから、仙石担当相がブレた発言をする。そんなことでは、事業仕分けそのものの意義が揺らいでしまう。
今回の事業仕分けは、経済の成長が終わって限られた予算の中で、何を削って何を残すかの議論が大前提としてあって、その中で「国栄えて民滅ぶ」を是とするのってどうよと思う。NECや日立が降りた今までのやり方で、世界一を取るつもりでなければ第2位もないというのは、そこに何の工夫もない。まぁ第2位じゃ何でダメなのかという質問もどうかと思うが。
このスパコン事業は、広大なスペースの中に何十台という汎用機のようなコンピュータを並べて、これを巨大なエアコンと水で冷却しながら運転するもので、膨大な電力を必要として環境にはおよそやさしくない代物。このやり方って、僕が数値計算に燃えていた20年以上も前から、基本的には変わっていないのではないかと思う。
そんなことを思っていたら、「長崎大の浜田助教、3800万円で日本一の速度達成」というニュースが飛び込んできた。秋葉原で売っている部品でスパコンを製作して、演算速度日本一を達成した長崎大学の浜田剛助教らが、米国電気電子学会の「ゴードン・ベル賞」を受賞というもの。10億円から100億円のスパコンを、わずか3800万円しかかからなかったとある。凍結したスパコン開発は、最終的に計約1230億円が必要って、この差って何。いや、これこそが科学や技術の創意工夫の結晶であり、日本人の持つもっとも得意とするところではなかったのか。このような学者に、スポットライトを米国からあてられるとは、やはり米国ではニュートラルに功績を評価できるところが強み。遅ればせながら、僕からも最大の賞賛を送りたい。浜田助教のやりかたは、グラフィック描画専用のGPGPUを科学技術計算に利用するというもの。詳しいことは、@ITの記事に載っていた。これで中国や北朝鮮秋葉原に走り、ちょっとしたスパコンバブルになるかも。