ラブホの窓は閉めてね

オフィスと巣鴨駅の間には数件のラブホテルがある。朝は毎日その近くを通るのだが、ときどき寝坊しちゃいましたモードのカップルに会うぐらいで、特に何かあるわけじゃない。さすがに男一人に女二人で出てきたときには、羨ましいなぁと思ったことはあるが、そんな程度。
最近は終わるのが遅くて終電にも間に合わない日々が続いていて、オフィスの前からタクシーに乗ってしまうので、はなからラブホのことなど忘れている。
今日は久しぶりに電車のある時間にオフィスを出た。終わらない仕事をUSBに積めて家でやることにしたので、そんな時間になった。久しぶりにそのラブホの前を通りかかると、頭上から男の野太い声が聞こえる。エコーがかかっていて何を言っているのか分からない。その野太い声の間を挟むように、若い女の嬌声が響く。何だろうなぁと思って見上げると、ラブホの風呂場らしきところの窓が開いている。
一方はこれから家に仕事をかかえて帰り、もう一方はラブホでおねぇちゃんといちゃついていると。男にとっては余裕のない状況は想像がつくけど、そんな声を聞かされる身にとっては、せめて窓を閉めるくらいの思いやりがあってほしいなぁと思いつつ、これからのことを考えてドキドキしながら駅に向かった。この気持ちはどうやって静めればいいんだ。ちなみにラブホは新装開店のシーザース。